Research
- 1.自己組織化によるナノ材料の省エネルギー合成
- 2.自己組織化タンパク質ナノファイバーのエネルギー・医用材料応用
- 3.ウェアラブル・インプランタブル環境発電デバイスの構築
- 4.イオン液体中における種々の高分子の自己組織化
1. 自己組織化によるナノ材料の省エネルギー合成
無機ナノ粒子の配列体は従来の原理を超えた機能を発現することが理論的に予測されており、それらを省エネルギーで生産するプロセスの開発が求められています。私たちは、単独では異方性を持たない無機ナノ粒子を、水中で1次元のチェイン状、2次元のリング状、あるいは3次元のベシクル状へと自在に自己組織化させる技術を確立しました。ここでは両親媒性高分子と無機ナノ粒子の相互作用が重要な役割を果たします。
この現象のメカニズム解明と材料応用に関する研究を進めています。
2. 自己組織化タンパク質ナノファイバーのエネルギー・医用材料応用
私たちは、生体組織に伸縮性を与えるたんぱく質「エラスチン」に着想を得た人工タンパク質を開発しました。この人工タンパク質は、再生医療のための細胞足場材料や、小口径人工血管用の素材として注目を集めています。
さらに、このタンパク質が水中で良質なナノファイバーを形成できることに注目し、ファイバーに電子やイオンを輸送する機能を持たせることで、フレキシブルな導電性材料や、生体と機械をつなぐインターフェースへと発展させる研究を展開しています。
3. ウェアラブル・インプランタブル環境発電デバイスの構築
力学的エネルギーを電気エネルギーに変換する「摩擦帯電型ナノ発電機」の構築に取り組んでいます。特に、誘電層に生分解性高分子を利用することで、ウェアラブル・インプランタブルなデバイスへ発展させることを目指しています。
4. イオン液体中における種々の高分子の自己組織化
複数の異なるモノマーからなる高分子(共重合体)は溶液中で様々な形態の自己集合体を形成します。私たちはイオン液体を溶媒に用いて、この自己集合現象を調べています。イオン液体は蒸気圧が極めて低いため、液体のまま透過型電子顕微鏡 (TEM) 観察を行うことができます。液相TEM観察以外にも、小角X線散乱 (SAXS) 測定やレオロジー測定を駆使して、イオン液体中における種々の高分子集合体の構造とダイナミクスを明らかにすることを目的としています。また、電子デバイスへの応用に適した高分子/イオン液体の系を探索しています。